町家に暮らす。町家を活かす。
はじめに
◇八女市の中心市街地に位置する八女福島の町並み地区では、1992年(H4)ごろから市民主導による町並みを活かすまちづくり活動が起こり、市民活動に呼吸した八女市の積極的な公民協働のまちづくり推進が功を奏して、2002年(H14)国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。これにより老朽化が激しくなった伝統家屋(町家等)の修理事業が計画的に取組まれ、町並み景観が徐々に蘇えってきています。
一方で、中心市街地の空洞化による人口減少の社会現象に歯止めがかからず、少子高齢化は深刻化する中で、町家が空き家になる傾向が顕著になっています。そこで、増え続ける空き家の有効活用を積極的に進めるため、その仕組みづくりの一環として、空き家の所有者等と借りたい人(借り手)及び買いたい人とをマッチングする団体が必要であるという認識から、「NPO法人 まちづくりネット八女」(=まちネット)、「NPO法人 八女町家再生応援団」(=町家再生応援団)、「NPO法人 八女空き家再生スイッチ」(=空き家再生スイッチ)が発足して活動を展開しています。
町家に暮らす。町家を活かす。思いのある方々への応援の体制
◇空き家再生活用の活動をするにあたり私たちまちネット・町家再生応援団・空き家再生スイッチは、地元住民組織(八女福島町並み保存会)の中の「八女福島空き家活用委員会」(町並みに関係するまちづくり団体が7団体参画)と情報交換などの連携を密にして活動しています。
まちネット・町家再生応援団・空き家再生スイッチは、まず、地元住民組織が行う空き家の所有者等の意向調査等に基づき、所有者等に対して、どなたかに貸して活用を図るように説得しています。(当然、活用の意思がない場合は、売買も勧めています。)そして、町並みや町家に魅力を感じて希望される移住を含めた「賃貸希望者」及び「購入希望者」の人に空き家を紹介しています。
また、空き家は様々な状態がありますが、基本的には改修が必要です。建物の改修にあたっては、建築の技術・技能者の集団「NPO法人 八女町並みデザイン研究会」の建築士(以下「地元建築士」という。)や行政から修理等の事業面(伝統的建造物群保存事業=市補助事業)等の指導を受け、町家の価値を損なわないような修理工事をサポートしています。(賃貸の場合、所有者等が行う修理工事の着工前に借り手を決定し、建物内部のデザインに借り手の意向を設計に反映することを心がけています)また、借り手及び購入者が店舗経営や住宅等で利用するようになった後も、地元住民とのコミュニティを含む交流などの相談にのっています。
現在まで、様々なまちづくり団体が協力した取組みにより、約61件の空き家が活用され、住宅、蕎麦屋・レストラン・居酒屋・カフェ等及びアンテナショップ等・雑貨店等の店舗、竹・木・切絵等の工房など37軒(内住宅と兼用14軒)、専用住宅24軒として活用が進んでいます。一部では若い世代の町家の継ぎ手も増え、地域コミュニティ維持に若い新住民が寄与する現象も生まれています。
私たちが期待する町家の使い方の例
- 伝統工芸品をはじめとする、ものづくりの工房
- 質の高い飲食店。特に八女茶や地酒、地場産品を味わえる店
- 長く住んでくださる方の住居
- 町家の良さを満喫できる居場所
- その他、町家の特性を活かした施設
外観の改修についての制限
- 八女福島地区は町並み保存地区(伝統的建造物群保存地区)です。復原修理ではない外観の改修は制限されます(決められたルールがあります)。
- 看板、室外機、メーター器等も町並み景観に配慮していただきます。
- 外部の改修、看板の設置など、外観を変更する場合は、ルールに則り、市の許可が必要です。
- 内部の改装については制限はありませんが、基本的な構造を大きく変更することはできません。
- 町家を買い取られる場合は、建物を大切に保存してくださることが条件となります。
- 外観、構造、基礎の復原修理については補助金の制度(伝建修理事業、街環整備事業)があります(事前申込が必要です)。
町家入居希望者(賃貸・買取)の空き家の再生活用までの流れ
1. 相談の予約をお願いします。
まずは、Eメール又はお電話(下の問合せ先に表示)をいただき、相談日をご予約ください。
土曜日、日曜日でも対応しています。まずは、お気軽にお問い合わせください。
2. 担当者が面談して相談にのります。
移住希望など内容(住宅及び店舗活用等)、賃貸及び買取の希望内容などについて、ヒアリングさせていただきます。
3. 空き家の現地見学
町家等の空き家について、希望内容に応じて、建物外観及び内部の状態について、見学をいただきます。
4. 空き家所有者等と町家入居希望者(賃貸・買取)との調整(マッチング)
空き家見学後、町家入居希望者(賃貸・買取)の希望家屋、及び空き家所有者等との意向を踏まえて、調整(マッチング)を行います。合意に達すれば、入居の手続き、所有権移転手続きの相談にのります。
空き家の改修が必要な場合は所有者に対して、賃貸及び買取後の利用など様々な状況に応じて、地元建築集団の建築士が相談にのります。具体的には、家屋の外側の修理は、八女市の伝統的建造物群保存地区の補助事業(=伝建保存修理事業)を含めたご提案をし、また、内部の改修については、使い方に応じた改修プランをご提案します。
これまでの町家等の再生活用の事例
店舗として活用
≪丸林本家・北棟 ― 若者ひきつける品揃えと情報発信≫
「丸林本家」は、「居蔵」と呼ばれる八女特有の町家建築で、明治期の主屋3棟が並び建ち、伝統産業である提灯の製造が行われた貴重な建物群であります。10年前に約20年以上空き家になっていて、台風被害を受け老朽化が深刻になり危険な状態となっていたので、建物群を後世に継承するために、2006年に町家再生応援団の呼びかけで、市民有志が集まり「八女福島丸林本家保存機構」を設立され、所有者から再生活用を任されて、主屋3棟の伝建保存修理事業を行い活用しています。
北棟は、モノづくり(八女を代表する手工業のモノづくりは、江戸時代から和紙、提灯、仏壇、石灯籠、久留米絣など伝統産業として、現代に受継がれています。)の情報発信基地として、八女に移住した若者が、デザイン性の高い店舗展開をしています。
中棟は、八女に移住した若者が、町家を活用した町家暮らし体験可能な一棟貨の宿泊施設として、活用しています。
≪U家 ― こだわりの蕎麦屋として≫
この建物は、所有者が台風で屋根の被害があり、通りに瓦が落下したことから、建物を解体して駐車場にしたいとの意向だったため、地元のまちづくりのリーダーに購入していただいて活用した物件です。若者が経営する飲食店が多い中で、この史蔵はこだわりの蕎麦屋として、リピータが多く遠方からお客さんが来ます。特に、飲食店の場合は、経営がうまくいくようにということで、まちづくり団体を中心に地元でお披露目会等を企画し、住民による応援に力を入れています。
住宅として活用( O家)
明治期に離れ座敷として建てられた伝統家屋、戦後、アパートとして増改築され、長期間の空き家状態が続き、雨漏りなどによる劣化が進んでいた。 所有者が伝建保存修理事業を活用して、再生活用を行われた。「伝統家屋に住みたい」というご家族が見つかり、町内会とのコミュニティにも参加され住まわれている。
移住等で町家を利活用される方への私たちの希望
○八女福島の町並みと町家を大切にしてくれる方
○地域に溶け込み、一緒に活動をしてくれる方
○八女の良さを発信してくれる方
私たちが期待する町家の使い方の例
○伝統工芸品をはじめとする、ものづくりの工房
○質の高い飲食店。特に八女茶や地酒、地場産品を味わえる店
○町家の良さを活かして、長く住んでくださる方の住居
○その他、町家の特性を活かした使い方
町並み景観への理解
○八女福島地区は町並み保存地区(国が選定した重要伝統的建造物群保存地区)です。
○町家等の外部の改修、看板・室外機等の設置など、外観を変更する場合は、町並み景観ルールにしたがい、市の許可が必要です。
○町家等の外観、構造、基礎の復原修理及び修景については、市の補助金の制度(伝建修理事業等)があります(事前申込が必要です)。
○町家等の内部の改装(市の補助制度はありません)については、市の許可は必要ありませんが、基本的な構造を大きく変更することはできません。
○町家等を買い取られる場合は、建物を大切に保存してくださることが条件となります。
お問い合わせ
八女福島の町家に移住を含め入居希望(店舗、住宅等)の方のお問い合わせは、下記よりお願い致します。
日本の風土を活かして、匠の技術の伝承と暮らしの知恵の中で生まれた町家。
代々継手に受け継がれてきて、地域の文化や暮らしとともにその魅力は増していきます。
電話でのお問い合わせ先
八女町家ねっと 事務局(NPO法人 まちづくりネット八女)
事務所:〒834-0031 福岡県八女市本町264 西棟
担当者: 北島 力(きたじま つとむ) (090-8413-6128
八女町家ねっとを形成している団体
NPO法人 まちづくりネット八女(空再生活き家用のまちづくり団体)
NPO法人 八女町家再生応援団(空再生活き家用のまちづくり団体)
NPO法人 八女空き家再生スイッチ(空き家再生活用のまちづくり団体)
NPO法人 八女町並みデザイン研究会(建築技術・技能者のまちづくり団体)
連携
八女市(地域振興課) 八女福島町並み保存会 八女ふるさと塾