NPO法人 八女町家再生応援団

団体名:NPO八女町家再生応援団

代表者:新開 一司(しんがい ひとし) 

副代表者:北島 力(きたじま つとむ):090-8413-6128

E-mail:yame-machiya@air.osn.ne.jp

URL:http://www15.ocn.ne.jp/~ymachiya/

ブログ版 八女福島町並み通信 http://yamefukutu.exblog.jp

会員数:15名  年会費:5,000円

設立年月日:2003(H15)年8月(翌年1月法人取得)

 

●【団体発足の経緯】

八女福島の町並みの貴重な文化遺産である江戸後期から昭和初期に建築された多くの町家建築を保存活用することを目的として、町並み地区は少子高齢化・空洞化が進み、町家が空き家になる傾向が顕著になるなかで、八女らしい有効活用を積極的に進めるため、本応援団が発足しました。

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八女福島の町家建築(右から町家のカフェ兼住宅・専用住宅・住宅兼木工房)

●【主な活動内容】

○町家の保存活用のための仲人等の活動

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空き町家の解体を未然に防ぎ保存活用するため、まず家主の意向調査等を行い、貸して活用を図るように説得します。そして、町家の魅力を感じて希望される「借り手」の方に空き町家を紹介しています。(地元住民組織とは情報交換などで連携)

建物の修理にあたっては、建築の技術・技能者の集団「NPO八女デザイン研究会」及び行政等から町家の修理等の技術的な指導を受けながら、町家の価値を損なわないような修理工事をサポートしています。また、賃貸等の成立後、借り手の方が店舗や住宅等で利用されるようになった後も、地元の人との交流やコミュニティーづくりをサポートしています。現在まで、16軒の町家の仲人を行いました。(店舗3、店舗兼住宅3、工房兼住宅4、工房兼店舗1、住宅5)

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町家のカフェしおや・2007年開店(一階内部)

 

○町家の保存活用のための魅力発信等の活動

町家の魅力を市民や来訪者に知っていただくため、保存活用している再生町家で期間限定の「町家カフェ」、「町家一般公開」や町家の空間利用を知っていただくため「町家中庭めぐり」などを企画し、文化財としての価値はもちろんのこと匠の技術や知恵を宣伝し継承する活動をしています。

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町家の一般公開(子どもたちの八女茶のもてなし)

 

○町家の保存活用のためのメンテナンス等の活動

町家は、昔から防腐等のため外壁等にベンガラ柿渋塗り(柿渋にベンガラ=赤色顔料を溶かし少し墨等を混ぜてつくる)を定期的に行って維持してきました。高齢化が進みその作業ができなくなってきたため、希望する家主さん(材料費を負担)に代わり私たち応援団が市民に呼びかけて、ワークショップ形式で建築士等の指導をうけ、ベンガラ柿渋塗りを行っています。

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ベンガラ柿渋塗り(町家の外壁)

 

○空き町家の保存再生へのアプローチ

事例の報告≫『解体危機の町家1軒を保存再生し活用:寄付申し出、任意団体設立・「管理委託契約」及び資金調達・修理事業、住宅入居』

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このK家の町家は数年空き家となり、土地・建物を管理している福岡在住の親族より、建物の損傷がひどくなっていて、両隣から苦情が頻繁にあるようになり、維持管理が困難なため、市又はNPOに土地・建物を寄付を申出られたが、相続の手続き等をしていなかったため、新たな仕組みを創造して対応したケースである。市は旧往還道(街道)に面した町家なので、是非保存してほしいという考えであった。市及び所有者から協力要請を受けた私たち応援団は、少子高齢化の進行の中で、このようなケースの町家が今後増えてくると予測し、市民有志に呼びかけてその受け皿となる「八女福島町家保存機構」(所有者等に代わって建物を保存修理し活用する。)を立ち上げた。

管理者との土地・建物の「管理委託契約」(期間は27年間、管理委託料は無料、固定資産税は機構が負担)を結び、資金計画を含む再生計画(町家利用者の決定、会員でノウハウのある地元建築士が修理工事=約2,000万円をサポートした。修理に対する市補助事業を活用=1軒960万円、残りの事業資金は会員から借入。)を立て、事業を行う仕組みを確立した。まず、入居する町家利用者(機構に入会)を探し、入居にあたって建物内部の仕上げについての要望を建築士が聴き設計内容に反映して、修理事業を実現することができた。今、機構は、建物と敷地の維持管理を行いつつ、建物利用者の会員からの利用収入を得、事業資金の借入に協力した会員に計画的に返済しながら運営している。

K家のケースは、土地・建物を市又はNPOに寄付したいという管理者の意向が相続の問題で実現できず、危機に直面した町家(今後出てくるケースも予測して)に対して、保存修理から活用に至るまでのプロセス及びその後の維持管理について、任意の実行団体を設立し、オーナーと管理委託契約を行い実行するという、非常に珍しく困難性の高いケースである。

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K家の町家(上・修理前、下・修理後)

 

今年の重点事業は、規模が大きな建物で、修理ができず老朽化が進み危機に瀕している町家の中で、特に価値の高い「旧寺崎邸」(米問屋)について、保存再生のモデルケースにするため、登録文化財指定を視野に入れた建物の学術調査を行う計画である。調査後、まちづくり団体や地元住民と連携して、保存再生事業及びその後の活用についてワークショップを取組みながら再生計画の作成を行う。(NPO法人八女町並みデザイン研究会の建築士と学識者等の協力を得て実測調査、図面を含めた調査報告書を作成する)

●【今後の活動】

これからの空き町家の保存活用の活動は、建物が大規模であったり、後継者問題、相続問題など多くの課題を抱えており、まちの魅力づくりとともに新住民のネットワークづくりを含めて、さらに仲間の輪を広めつつ取組んでいく決意です。