【サントリー地域文化賞を受賞しました】

地域文化の発展に貢献した個人や団体を顕彰する「第36回サントリー地域文化賞」(サントリー文化財団主催)に、八女市福島地区「八女福島 住まう文化のまちづくり」が選ばれました。

2014年8月27日に福岡県庁で記者会見があり、財団の前波美由紀事務局次長が「町家を再生する取り組みは各地にあるが、観光誘致だけでなく、住んでもらうことを前提にして実績を上げているところは珍しい」と受賞理由を説明されました。

誠にありがとうございました。

 

 

以下、NPO八女町家再生応援団副代表/NPO八女文化振興機構副理事長・北島のコメントです。

8月27日福岡県政記者クラブ(県庁内)で、第36回サントリー地域文化賞の受賞者決定の記者発表があり、八女福島から3名出席いたしましたので、ご報告します。

記者発表には、グループ現代の川井田プロデューサーとNHKの五十嵐さまもかけ付けてくださいました。

なお、受賞の経緯は、以下のとおりです。
このたびの受賞の切っ掛けは、「まちや紳士録」を制作されたグループ現代の川井田プロデューサーが昨年9月の「まちや紳士録」の八女上映の時、NHK九州 支社の五十嵐さまをご招待され、それがご縁となり、五十嵐さまが八女福島の活動に感激されて、川井田さんにこのたびのサントリー地域文化賞の推薦を持ちか けられました。

そして、応募したことにより見事受賞に繋がりました。

八女福島のこれまでの活動の努力の積み重ねはもちろんですが、人と人とのつながりの大切さと「まちや紳士録」の不思議な力を感じているところです。

この受賞を契機として「まちや紳士録」の全国上映を更に広め、全国の方々との繋がりが広がっていくことで、町並み保存の大きな輪へ広がることに繋げたいと気持ちを新たにしています。
また、その力を「旧八女郡役所」の再生活用に繋げたいと思います。

では、今後ともどうぞよろしくお願いします。

燈籠人形の舞台が組み立てられています

福島八幡宮にて、燈籠人形の舞台が組み上げられていました。

高さ8m、幅14m、奥行き6m余りの2階建、3層構造になっています。
この舞台は「屋台」といわれていて、毎年この時期に組み立てられ、燈籠人形終了後に取り壊されます。

放生会の奉納行事として秋分の日を含む3日間に公演されます。
囃子にあわせてからくり人形芝居が上演される様子は見事です。
ぜひ、公演期間中にお越しください。

 

舞台 組み立て中(23日(土)の様子)

舞台 組み立て中(27日(水)の様子)

舞台 組み立て中(27日(水)の様子)

 

****「八女福島の燈籠人形」公演のお知らせ****

国指定重要無形民俗文化財 福島八幡宮「放生会」
八女福島の燈籠人形 からくり人形公演

■芸 題:吉野山狐忠信初音之鼓

■と き:9月21日(日)~9月23日(火・祝)
第1回/13時30分 第2回/15時00分 第3回/16時30分
第4回/19時00分 第5回/20時30分

■主 催:八女福島の燈籠人形保存会

燈籠人形公演(動画リンク)

求む!“人力車車夫”ボランティアスタッフ

八女福島を中心に活動するまちづくり団体、「八女ふるさと塾」よりお知らせです。
人力車にご関心のある方、ぜひお気軽にお問い合わせください。難しいと思われているかもしれませんが、曵くことはどなたでもできるものですので、ぜひこの機会に!
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**********(以下、ご案内)**********

わたしたち“八女ふるさと塾”では、9月の燈籠人形の公演期間中、一緒に人力車を曳いていただける方を募集しています。

<期間>:2015年9月21日(日)・22日(休)・23日(祝)
<時間>:10:00~18:00
<条件1>:18才以上~65才未満。男女不問。
<条件2>お客様に“まち案内”もしていただきますので、白壁の町並みが好きな方。

※上記の日程(21,22,23日)のうち参加できる日・参加できる時間で結構です。
※衣装はお貸しします。サイズ確認のため、事前に面接いたします。
※当日のお弁当・飲み物はこちらで準備いたします。
※人力車運賃収入は、まちづくりの資金として使わせていただきます。

<募集締め切り>9月10日(木)

<お問い合わせ・応募先>
中島 事務所TEL:0943-22-5804
携帯TEL:090-8917-8208
メール:info@yame-machiya.com

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【川のじ上映会 vol.2】 〜柳川掘割物語〜のご案内

風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」などのアニメ作品で知られる、宮崎駿・高畑勲両監督が制作したドキュメンタリー映画「柳川堀割物語」の上映会をゲストハウス川のじで行います。

八女福島地区では、町並みを活かしたまちづくりの取組みが進められていますが、柳川での先駆的な住民との協働の取組みに学ぶとともに、自然と人々との共生について考えてみたいと思います。

 

日 時:2014年9月7日(日)
16:00~19:00(開場15:30~)
場 所:ゲストハウス川のじ(八女市本町264)
ゲスト:柳川市役所職員 中島貴光 氏
参加費:1,000円(当日徴収)
要申込:定員20名

*参加費用は、八女福島での町家再生・活用の活動費に充てます
*町家(畳敷)での鑑賞となります

(c)二馬力

 

「柳川掘割物語」とは、アニメーション映画の舞台として福岡県柳川市を取材に訪れた高畑勲が、貫く水路の情景とその歴史に魅了され作り上げ唯一の実 写映画。「堀割」と呼ばれる水路の歴史と、それを守り続ける住民の生活が描かれた長編ドキュメンタリー。(1987年/165分)

水路が張り巡らされている特殊な町、福岡県柳川。水道のない時代、住民は堀割の水を汲み上げ、飲料水・生活用水にしていた。しかし、昭和40年代の 高度成長期に堀割は、ドブ川、さらにゴミ捨て場となってしまう。堀割を暗渠にし、下水道を作るという計画が持ち上がり、その担当となった市職員によって、 水路の清浄の活動が展開され、市民もその活動に参加し始める。

主催:ゲストハウス川のじ(NPO八女文化振興機構)
協力:八女町家ねっと、まちづくりネット八女
問合せ(事務局):電話 070-5690-1471 またはメール info@yame-machiya.net

柳川フィルムコミッション

【伝統技法(柿渋製法)の実演記録】

2014年8月12日(火)、八女市立花町の中尾酒店にて「柿渋(かきしぶ)製法」の実演が行われました。

この企画は、NPO八女町並みデザイン研究会の伝統技法の研修会として行われました。

福岡県八女福島地区(重要伝統的建造物群保存地区)では、多くの町家の外壁・柱・建具等に「柿渋」が塗られています。昔は、どの家でも塗られていたと伝え聞かれています。

 

 

そもそも「柿渋」とは何か、ご存知ですか?

柿渋(かきしぶ)は、渋柿の未熟な果実を粉砕、圧搾して得られた汁液を発酵・熟成させて得られる、赤褐色で半透明の液体。柿タンニンを多量に含み、平安時代より様々な用途に用いられて来た日本固有の材料である。発酵によって生じた酢酸や酪酸等を原因とする悪臭を有するが、20世紀末には新しい製法により精製され、悪臭が完全に取り除かれた無臭柿渋も誕生している。

文献で最初に記載されているのは10世紀頃であり、漆の下塗りに使用された記録が残っている。また、衣類に使用したのは、平安時代の下級の侍が着ていた「柿衣」(柿渋色は時に桧皮色とも混同され桧皮着:ひわだぎとも呼ばれた)がその始まりとされる。また民間薬として、火傷や霜焼、血圧降下や解毒などに効くとして盛んに利用された。Wikipediaより)

 

つまり、赤褐色の液体こそが柿渋です。

今回は、その製造工程を見学させていただいたということです。また、その歴史も古いことが知られています。

その原料である「渋柿」を、木から切ってきたものを製造するところを、立花町の中尾酒店さんで見学させていただきました。

 

機械に入れた状態の渋柿

電動機械による「破砕」

この緑色の小さな果実が「渋柿」と呼ばれる原料です。そんなに強い臭いはしませんでした。
すごく小さいですよね。これ、少しだけ口に入れましたが、渋いです。。

八女地方では、8月上旬〜お盆過ぎまでが収穫時期とのことで、この2週間しか渋柿は取れません。
ですので、少し昔までは、この時期に渋柿収穫が集中的に行われていたのでしょうから、すごく慌ただしかったのでしょうね。

ちなみに、柿渋づくりの手順は「洗浄」「破砕」「搾り」「ろ過」「発酵」となります。

渋柿を機械に入れるー1


まずは、渋柿を写真のような歯車の付いた機械に入れて潰します(電動です)。
この機械は、なんとお父様が昭和20年代後半に自作されたそうです。もうかれこれ60年が経過!

特徴は、なんといっても移動ができることにあり、
リアカーに乗って、城島の酒蔵までこの機械と渋柿を運んで、現地で製造されていたそうです。

伝統的には、臼と杵で潰されていましたが、この中尾商店さんでは機械によって、
移動可能になり、現地で柿渋を製造することになったそうです。

渋柿を機械に入れるー2

 

このように機械の中に渋柿を入れたら、あとは機械で潰してくれます。
ゴトゴトといって歯車が回り出し、中に設置された長野石が渋柿を潰してくれるという仕組みになっていました。

 

「絞り」、「ろ過」、そして「発酵」 渋度の測定器具を活用

渋柿(手前の入れ物の中)、奥がつぶしたばかりの渋柿が入った容器

 

潰した渋柿を青い容器の中に入れて保管しておきます。
出来上がった柿渋は手前の四角い容器です。

渋度を図るための道具

 

写真で中尾さんが持っている道具は何かというと、「渋度(しぶど)」を測定する棒目!
「渋度」って初めて聞かれた方もいらっしゃると思いますが、その名のとおり、渋さの度合いのことだそうです。
つまり、度数が高いほどシブくなり、度数が低いほどシブくない、ということですね。
一般的に売られている柿渋の渋度は「2.5」以上は必要だそうです。

 

今回の実演の前日に製造された渋柿は「4.5」程度ありました。
「渋度」が高ければ、水を入れたり、「渋度」の低い柿渋を混ぜて、濃度を下げるのだそうです。

 

渋柿をつぶした状態

完成した柿渋はプラスチック容器へ

 

完成した柿渋は発酵した状態のため、すぐに密封容器に入れることはできません(破裂してしまうようです)。

また、期間が経てば経つほどに、色も濃い赤褐色になるそうで、建物の外壁に塗るには、期間を経たものが良さそうです。

そして、醤油瓶や鉄製の容器には入れないように。すぐに黒くなってしまうのですよね。

 

八女地域での柿渋づくり

八女地域でも、古来から柿渋が様々な用途に使われてきましたようです。

建物の木部に塗られていることは前述したとおりですが、和傘、漆器、布製品、紙製品にも塗られていますし、

酒蔵の酒樽にも用いられていたそうで、柿渋が入った酒樽は、お酒の沈殿の様子が全く違うそうで、要するに「おいしい」お酒ができるのだそうです。昔は、どの酒蔵も柿渋を用いられていたそうです。

ただ、現在は新しい素材に変えられているところがほとんどなので、その味を確かめることは困難とも言われていました。

また、漁師網にも柿渋が塗られていました。防腐効果や強度アップのためかと思っていたのですが、なんと柿渋の色は「魚の目から見えにくくなる」効果もあることから塗られているとのこと。

なるほど。魚が見えにくいので、網にたくさん引っかかるのですね。

その他、現在ではテニスのラケット(ネット)にも塗られているようです。

 

つい数十年前までのまちなかの光景には、柿渋売りといわれる方々がリアカーで販売に歩かれる様子がありました。

暑い日には、アイスを食べながら柿渋を売られたそうです(アイスを買うお金がなければ柿渋と交換されたそうです。もちろんそのアイスと交換した分の柿渋が減れば水を足したこともあったそうです!・・・今考えると、「渋度」は当然下がりますので、いわゆる・・・ちょっとした詐欺ですよね。(笑)

中尾さんご夫婦

現在、八女で柿渋の製造が行われているのは、ここ中尾さんだけともいわれています。

中尾さんがつくられた柿渋は、八女市観光物産館にて買うことができます(塗り方のレシピ付き!)。

 

可能であれば、その技術・製法を後世に継承していきたい、とすごく思わされた見学でした。

本当にありがとうございました。